清宮幸太郎。打率3割6分7厘、4本塁打。数字だけを見れば、ついに覚醒の時が来たと手放しで喜びたくなる。春季キャンプでの右肘の不調はどこへやら、軽々とアーチを量産している。その原動力が、海を渡って開幕3戦連発と暴れる同期、村上宗隆の存在だというのだから面白い。
地元の同級生が海外で大成功しているのをSNSで見て、急に意識高い系のビジネス書を読み漁るサラリーマンみたいなものだろうか。「そりゃ刺激になりますよ」とニヤリと笑ったという。
現金な男である。しかし、同期の出世というわかりやすい劇薬でこれほどまでに成績アップするのなら、球団はロッカールームのモニターに永遠と村上のハイライト映像を流し続けるべきではないか。
おまけに、自身のメジャーへの思いまで再燃させているらしい。
気が早い。だが、それでいい。
主砲のレイエスが足の痛みを抱えている今、都合よく着火したこのライバル心は、チームにとって願ってもない特効薬だからだ。
ただ、他人の活躍という外部からの燃料で燃え上がった炎は、風が吹けばあっけなく消えやすい。この確変状態がいつまで続くのか、私は腕を組みながらたっぷりの疑いの目を向けている。
とはいえ、この美しい確変モードが明日パタリと終わりを告げたとしても、高々と打ち上げた平凡なフライが失速していくのを眺めながら、呆れ顔でビールを喉に流し込む日常に戻るだけだ。
それでも結局、あの美しい放物線の残像がどうにも忘れられなくて、明日もまた中継のチャンネルを合わせてしまうのだけれど。


