プロ野球のペナントレースというのは、つくづくタチの悪い「感情のジェットコースター」である。
一昨日、我々は細野のノーヒットノーランという極上のフルコースを味わい、この世の春を謳歌していた。それがどうだろう。たった24時間後には、ソトが夜空に描いた冷酷な放物線をただ茫然と見つめながら、暗い虚無のどん底に突き落とされている。
WBCの疲労を考慮し、ローテーションを再編して満を持して登板したはずの北山。3回まで無安打で抑えていたのに、一瞬の隙を突かれての痛恨3ランだ。昨日の熱狂の余韻でフワフワしていたところに、いきなり氷水をぶっかけられた気分だ。試合後、「精神的に弱い部分が出た」とうなだれる北山。真面目か。そこは素直にソトの理不尽なパワーを褒めておけばいい。
打たれた。負けた。借金3。これが冷徹なる現実だ。
だが、この暗いムードの中で、我らが指揮官の反応がバグっている。開幕5戦で1勝4敗。普通なら重苦しい悲壮感が漂う場面だ。しかし新庄監督は「あした!あした!」と恐ろしく軽いトーンで言い放った。締め切りをぶっちぎった作家の開き直りか。
しかも万波のホームランで中途半端に追い上げるからタチが悪い。「もしかして」という淡い期待を抱かせ、結局は届かない。寸止め。精神衛生上、一番よろしくない負け方だ。
冷静に計算すれば、開幕からこのペースで負け続ければペナントの行方はお察しである。危機感を持て、と正論を振りかざすのは簡単だ。でも、当の監督がこれだけあっけらかんと明日を語っているのに、外野が眉間にシワを寄せて深刻ぶるのも馬鹿馬鹿しくなってくる。
どうせ今夜も「今日こそは」とテレビの前に座り、彼らに振り回されるに決まっているのだ。私の貴重な春の夜をどうしてくれるのか。まあいいか、とりあえずビールでも冷やしておこう。


