連敗中のプロ野球選手がSNSで笑顔を見せると、それは即座に国家反逆罪に等しい大罪として認定されるらしい。ご存知だろうか。
最近、我らがファイターズの郡司裕也が、ソフトバンクの柳町達が考案した丼を頬張り、「お前、梅干し苦手だろ」と同期ならではのツッコミを入れた。球団公式がアップした、ごく平和なグルメ宣伝企画だ。
だが、チームは絶賛3連敗中。これを見た一部のファンが「負けてるのにヘラヘラするな」「死ぬ気でやれ」と画面越しに青筋を立てているという。
本気で言っているのだろうか?
彼らの頭の中では、選手は試合後から翌日のプレーボールまで、暗いロッカールームで歯を食いしばり、悔し涙を流しながら一睡もせずに素振りでもしている設定なのだろう。
企画は数ヶ月前から動いている。写真はおそらく事前撮影。投稿ボタンを押すのは広報担当者だ。目の前の勝敗と、球団ビジネスのタイムライン。その二つが完全にシンクロしていると信じ切るその純真さ。痛々しいほどに滑稽で、なんだか少しだけ羨ましくも思えてくる。
プロ野球なんて所詮、高度に洗練されたショーだ。「死ぬ気」を求めたところで誰も死なないし、同級生のイチャイチャグルメ対決にマジギレするエネルギーがあるなら、明日の仕事にでも向けた方がよっぽど実人生の役に立つ。
まあ、そんな理不尽に怒り狂うファンの生態を安全圏から観察するのも、野球という巨大なコンテンツの正しい消費方法の一つなわけだ。彼らの熱すぎるコメントをツマミにしながら、私は今日も冷えたビールを開けてナイター中継のチャンネルを合わせる。

