予定調和のハッピーエンドの映画なんて観る気すら起きない。 主人公は初手で派手にドブに落ちて、顔を泥だらけにしてくれないと物語として何の面白みもないじゃないか。
その点、今年のファイターズはきっと極上の不条理エンターテインメントを演出してくれている。 敵地での開幕、見事なまでの3タテ。相手のホークスが、進塁打や犠牲フライといった地味なタスクを精密機械のようにこなすエリート集団だとするなら、我が軍の戦いぶりはなんだ。
3試合で8本塁打を放つ。
打つ。
飛ばす。
夜空に消える。
線にならない。
重ならない。
勝てない。
ただの無意味な花火大会。
ホームランは野球の華だなんて誰が言った?今私たちが直面しているのは、華だけを乱暴に集めてガムテープで縛り上げたような、極めて歪で不気味なオブジェだ。
そんなちぐはぐな絶望の焼け野原で、8回に一発を放った4番・郡司裕也が「下から上がっていくぐらいがちょうどいい」と言った。
開幕前の過剰な優勝ムードというぬるま湯から、いきなり氷点下の海に突き落とされたというのに、この男は「いい湯加減ですね」と笑って首まで浸かっているのだ。正気だろうか。
まあ、確かに「今年はいける」という根拠のないフワフワした熱気には、私自身も少し悪酔いしそうになっていたのは事実だ。
最初から頂点にいる優等生を眺めるより、底辺から這い上がる泥だらけの集団を観察するほうが、野次馬としては断然面白い。
というわけで、明後日の本拠地開幕戦。彼らがどう這い上がるのか、腕を組んで高見の見物とさせてもらう。



