マウンドへ向かう足取りに決意が滲む。
ふと向けられた視線の先、エスコンフィールドのスタンドの一角。
そのシートから放たれる期待に応えるべく、彼はマウンドに立つ。
伊藤大海が自ら発案した「大海シート」。
北海道の児童養護施設や、こども食堂の子どもたちを毎試合8名招待する取り組みだ。
今年で、もう5年目になる。
「夢や希望が自身の成長と自立につなげてくれたら」
球団から発表されたコメントは、実直で、飾らない言葉だった。
誰かに言われたからではない。
伊藤投手自らの発案で始まり、それが5年続いている。
その継続が、彼が胸の内に秘めた熱の正体を証明している。
生まれ育った北海道でプロ野球選手としてプレーすることへの感謝。
それを言葉だけでなく、自らのピッチングという行動で示し続けている。
彼らが招待されるのは、特別な日ではない、日々の勝負の場だ。
子どもたちはきっと、そこから見える景色を通して、グラウンドで躍動するプロの姿を目に焼き付ける。
2026年シーズン。
大海シートから届く声援を、彼はまたマウンドで力に変える。
その背中が、今年は子どもたちの目にどう映るのか。
ただ静かに、その登板を見届けたいと思う。


