球春到来の裏でアスファルトを削る異音とフジテレビNEXTの深淵

おい、そこの画面の前で、贔屓球団のオープン戦の貧打を眺めて無意味なため息をついているお前。 そう、お前だよ。新外国人バッターが外角の落ちる球にクルクルと扇風機のごとく回り続ける姿を眼球に焼き付けられ、すでに秋のドラフト会議の候補選手リストを血眼でスクロールし始めている悲しき野球狂。 お前らのその澱んだ瞳の奥底には、一体何層の諦念が地層のように堆積しているんだ。

ワイのような偏見の塊にしてしがないおっさんは、プロ野球という泥臭い乱数調整ゲームに脳の海馬をハッキングされて久しい。 毎年春になると、ペナントレースという名の半年間に及ぶ緩やかな自己破壊プロセスに身を投じる。これはもう、防衛機制としての忘却すら機能しない、重度の精神的依存である。 そして、この呪われた儀式を全試合見届けるために、我々はスカパーという巨大な放送網との血の盟約を結ぶわけだ。アンテナをベランダに設置して近隣住民にガッツリとガチ勢アピールをするもよし、今なら光回線やストリーミングなど、アンテナ設置以外にも視聴方法という名の抜け道はいくらでも用意されている。

だがな、春先のこの時期、野球の試合が終わった後の夜の静寂。あの錆びた蛇口から等間隔で滴る水滴の音だけが響くミクロな密室で、不意に別の周波数を受信してしまうことがあるんだ。 時速300キロでアスファルトという名のヤスリの上を滑走し、タイヤのゴムと己の寿命を削りながらコンマ数秒のエントロピーの増大に抗う狂人たちの乱舞。 そう、FORMULA 1である。

プロ野球セット目当てでスカパーのB-CASカードを挿入したお前ら。そのカードは、ただのプラスチック片ではない。現代の錬金術における賢者の石だ。 野球しか見ない?勿体ない。せっかく広大な放送網という名の宇宙的真空空間にアクセスしたのだから、ちょっとフジテレビNEXTという名のブラックホールを覗いてみないか。

金の話をしよう。フジテレビNEXTの視聴料金は、月額1,980円(税込)と基本料429円(税込)。合わせて2,409円。 これを高いと抜かす貧弱な経済観念の持ち主は、今すぐスマホのソシャゲのガチャ履歴を確認してこい。光の届かない深海で発光するクラゲのような電子データに課金して虚無を得るくらいなら、極限の物理法則に支配されたモータースポーツの轟音に投資するほうが、精神の衛生上ずっと健やかであると言えましょう。わかっていただけましたでしょうか。

しかも、加入月の視聴料は0円だ。これはもう、食虫植物が分泌する甘い蜜、あるいは胞子が鼻腔に侵入するような不可逆の入り口。タダならとりあえず吸い込んでみるのが人間の業というもの。

そして何がヤバいって、フジテレビNEXTの執念である。全戦オールセッション生中継。金曜のフリー走行から予選、そして日曜の決勝まで、ドライバーたちの心拍数を細胞レベルで監視できるこの全能感。 海外開催の深夜や早朝のグランプリ?時差という名の、地球の自転による無慈悲な隔離壁。だが安心しろ。録画可能でいつでも見られるのはもちろん、見逃し配信とハイライト映像があるため、時差がある開催地でのGPも好きな時に楽しめる。時空の歪みを無視して、お前が起きたその瞬間がシグナルブラックアウトの合図だ。

さらに、1987年から中継をしているフジテレビの豪華解説陣による解説でF1を楽しめる。彼らの声は、もはや古生物学における示準化石のような圧倒的な安心感をもたらす。知識の層が厚すぎる。 生中継だけでなく、F1GPニュースなどのF1関連番組も楽しめるから、情報の取りこぼしがない。そしてテレビの前から離れられない呪縛を解き放つように、テレビでもスマホでも視聴可能というモバイル環境の整備。風呂場でもトイレでも、タイヤの温度管理を監視し続けることができるんだ。

マウンドからホームベースまでの18.44メートルで繰り広げられる投手の心理戦と、サーキットのコーナーで発生するGの暴力。 ジャンルは違えど、どちらも「人間がやる必要のない極限状態」をあえて楽しむという点では、根源的なマゾヒズムの共有だ。 贔屓のチームが謎のバント戦術で自滅し、無意味な継投で逆転負けを喫し、脳内のシナプスが焼き切れそうになった夜。 無心になって、ただひたすらにトラックを周回するエンジンの甲高い咆哮を聴け。 それはまるで、荒ぶる交感神経に打ち込まれる冷徹な鎮静剤。モータースポーツの精緻なメカニズムが、お前の狂った野球愛による火傷を、優しくアイシングしてくれるはずだ。 まあ、ひいきのチームの戦略ミスから逃げてきたのに、今度は推しチームのタイヤのデグラデーション戦略のミスでまたイライラするかもしれないけどな草。

でも、そういう不確実性の揺らぎこそが、我々がスポーツという名の合法麻薬を手放せない理由なんじゃないでしょうか。 たまには、違う景色を見るのも悪くない。球場の芝生の美しい緑もイイね。でも、タイヤの跡で黒く焦げたアスファルトの熱気も、なかなかどうして、弱った心に沁みるぞ。

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