歴史的快挙というものは、主役の輝きを掻き消すほどの厄介なサイドストーリーを引き寄せるブラックホールのようなものらしい。そうは思わないだろうか。
細野投手のノーヒットノーラン。本来なら、この快挙だけで私たちは向こう一週間は機嫌良く過ごせたはずだった。しかし、我らが球団が用意していたのは、勝利の美酒ではなく、就任初日の専属インタビュアーという名の初々しい劇薬だった。
球史に残る熱狂のど真ん中。
そこへ投入された彼女の細野への質問は、親戚の集まりで若者に投げかけられる無難な世間話のごとくあっさりしていた。ファンの求める深い心理状態?裏側のドラマ?そんなものはクリーンなエンタメ空間には不要であるといわんばかりのあっさりさ。
見事なまでの肩透かし。
球団が推し進める内製化路線の歪みが、これ以上ない最悪のタイミングで露呈したように見えた。
そこへ投下された、地元局アナによるSNSでの「お気持ち表明」。長年現場を支えてきたプライドと、新時代に置き去りにされる寂しさ。わかる。痛いほどわかるよ。でも今それ言っちゃう?
まさにカオス。極上のフルコースの最後に突然手作りの塩むすびを出され、厨房の隅ではベテランシェフが恨めしそうに舌打ちしている。そんなカルト映画のような人間模様を、私たちは見せつけられている。
誰が悪いわけでもなく、全員の思惑が少しずつ空回りしているだけ。新しい文化が根付く過渡期とは、こういう面倒な摩擦を伴うものなのだろう。
とはいえ、私が球団の経営方針に口を出す義理など一切ないし、誰が正義かなんて議論にも興味はない。マイクの持ち主が変わろうが、外野がどれだけ大声で騒ごうが、どうせ今日も夕方になればそわそわとスタジアムの様子を気にしてしまうのだ。



