大谷翔平 神の睡眠宣言に見るWBC初戦の光

WBC

風呂場のタイルの目地にこびりついた黒カビ。それを使い古した硬めブラシで、まるで地層に堆積した己の罪を削り落とすように無心で擦り続ける。

これが俺のフライデーナイトだ。お前らはもっとマシな夜を過ごしてるんだろうな。

ふと傍らに置いたスマホが、無機質な通知音を鳴らした。
「日本13-0台湾。大谷翔平、先制グランドスラム含む3安打5打点」

呼吸、してるか。

2026年のWBC初戦。あの東京ドームの打席で彼がバットを振るうと、そこに局所的な重力崩壊が起きる。放たれた白球は事象の地平線をやすやすと越えて、あっけなく右翼席という名のブラックホールへ吸い込まれていくんだ。

初回ツーベース、2回に満塁弾、同じく2回にタイムリー。サイクル安打にリーチをかけながら、あっさり代打を送られるこの底知れぬ余裕。

だがな、俺が真に戦慄し、洗剤まみれの手でこの記事をフリック入力している理由はそこじゃない。問題は試合後のヒーローインタビューだ。

「早く家に帰って、たくさん寝て明日に備えたい」

は?

国を背負う重圧の中で5打点だぞ。
凡人なら交感神経が暴走してアドレナリンが脳内の海馬を水没させ、網膜に焼き付いた歓声のフラッシュバックで三日三晩は不眠に陥る。それがホモサピエンスという脆弱な有機物の限界ってもんだ。

それなのにこの男は、恒星が超新星爆発を起こした直後のような莫大なエネルギーを放出し終えた後で、ただの哺乳類として「睡眠による細胞の代謝」を淡々と求めている。

読者の皆様におかれましては、全知全能の神がヨレヨレのスウェットを穿いて、毛布を首元まで引き上げる姿を想像できますでしょうか。私には到底不可能です。

大谷の精神の深淵には、承認欲求という概念が翻訳不能なエラーコードとして処理されているに違いない。掲示板でワイらが「大谷寝ろ」と書き込む前に、本人が自発的に睡眠を宣言するこのバグ。圧倒的な自己管理能力の前に、俺の部屋に転がるストロングゼロの空き缶が、まるで風化したコンクリートの残骸のように虚しく見える。

俺のような偏見の塊でしかないしがないおっさんは、明日も換気扇の油汚れを見つめながらため息をつく。

でもよ、あの男が今日もぐっすり眠って、また明日バットを振る。ただそれだけで、俺たちのこの錆びついた日常の片隅でも、光合成の残酷な静寂が少しだけ優しい酸素を吐き出してくれるような気がするんだ。

だからお前らも、夜更かしして他人のアラ探しなんかしてないで、さっさと布団かぶって寝ろ。

大谷と同じ空気を吸って、同じ時間に眠れる。悪くない夜じゃないか。

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